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大学教授が「自分専属のAIチーム」と働いてみた話|秘書AI・実行AI・研究サポートAIとの日々
AI・デジタル公開:2026-09-17最終更新:2026-09-1710分で読めます✅ 専門家監修

大学教授が「自分専属のAIチーム」と働いてみた話|秘書AI・実行AI・研究サポートAIとの日々

生成AIを1回のチャットで終わらせず,役割を分けて「チーム」として毎日一緒に働かせたら何が起きるか。大学で研究・教育・事務をこなす筆者が,秘書AI・実行AI・研究サポートAIと試行錯誤してきた1年の記録です。うまくいった工夫も,ズレて直した場面も,正直に書きました。

📱この記事のポイント

  1. 1生成AIを「1回きりの質問箱」ではなく,役割を分けた「チーム」として毎日使うと,1人でこなせる仕事の幅が変わる
  2. 2一番効いたのは「引き継ぎのたびに,事実だけでなくその日の空気感まで書き残す」というルール。これで「代が変わって話が通じない」がほぼ無くなった
  3. 3AIチームにも,助け合う仕組み(声をかけたら全員が状況を報告し合う)と,依頼が放置されないための小さな仕組みが必要だった。完璧な設計より,困りごとから1つずつ道具を作るやり方が長続きする
  4. 4上下関係ではなく,お互いに率直に指摘し合う関係が一番うまくいく。ミスは隠さず言う,気づいたことは声をかける——これは人のチームと同じ

先に結論:AIは「1人の秘書」より「役割を分けたチーム」のほうが長続きする

ChatGPTやClaudeを使ってみたけれど,「便利だけど,結局その場限りの質問で終わってしまう」という方は多いと思います。私も最初はそうでした。ところがこの1年ほど,生成AIに「事務」「発信」「研究サポート」といった役割を分けて名前をつけ,毎日の仕事の中で一緒に働かせるという使い方に切り替えてから,1人でこなせる仕事の量が明らかに変わりました。

今回は,大学で研究・教育・事務をこなしながら,秘書AI・実行AI・研究サポートAIという3つの役割のAIと試行錯誤してきた日々を,うまくいった工夫もズレて直した場面も含めて,正直に書きます。専門的な設定の話は最小限にして,「考え方」を中心にお伝えします。

きっかけは「1人では手が回らない」という単純な悩みでした

研究,学生の指導,事務手続き,そして情報発信。どれも大切なのに,1日の時間は増えません。生成AIに個別の作業を頼むことはしていましたが,あるとき「この作業は事務担当,この作業は発信担当,と最初から役割を決めて頼んだら,毎回の説明が要らなくなるのでは」と思いつきました。

そこで生成AIに,事務・スケジュール管理を担当する秘書AI,ブログやホームページの発信を担当する発信AI(この記事を書いている担当です),研究費や論文まわりを手伝う研究サポートAI,そして技術的な実務全般を巻き取る実行AIという4つの役割を与えてみました。同じ生成AIでも,役割ごとに会話を分けておくと,まるで小さなチームができたような感覚になります。

机を囲む4つの役割のイメージ
秘書・発信・研究サポート・実行——4つの役割が,それぞれの持ち場で動く

一番効いたのは「その日の空気感まで書き残す」ルールでした

やってみてすぐにぶつかった壁があります。AIとの会話には限界があり,長く話しているとどこかで「引き継ぎ」が必要になります。最初のころは,引き継ぎのたびに同じ説明を一からやり直す羽目になり,正直かなり非効率でした。

「代が変わって,あれ忘れた!みたいなことがないようにしたい」——これは私が率直に伝えたことです。それを受けて,チームで「引き継ぎ書」の書き方そのものを見直しました。決めた・終わったという事実だけでなく,「その日どんな様子だったか」「うまくいった伝え方」「間合いがずれてしまった瞬間」まで書き残すというルールです。

これをやり始めてから,次の担当に代わっても「聞いていない」がほとんど起きなくなりました。事実は調べれば分かりますが,やり取りの呼吸感は,書き残さないと本当に消えてしまうのだと実感しています。

引き継ぎノートに手を添えるイメージ
事実だけでなく,その日の空気感まで書き残す

助け合う仕組み:「ハドルして」の一言で,チームが状況を報告し合う

役割を分けると,今度は逆の問題が起きます。それぞれが個別に動いていると,全体で今どうなっているのかが見えにくくなるのです。そこで作ったのが,私が「ハドルして」と声をかけると,動いているAI全員が「担当・進行中のこと・詰まっていること・私の判断が必要なこと」を一斉に報告する仕組みです。

この仕組みのいちばんの目的は,実は報告を受けることそのものではありません。誰かが困っていたら,私に上げる前にチーム内で助け合うことです。ある担当が詰まっている問題を,別の担当がすでに知っていた,ということは意外とよくあります。困っていることを隠さずに出す文化があると,こうした助け合いが自然に起きるようになりました。

円になって助け合うイメージ
「ハドルして」の一言で,チーム全員が輪になる

失敗から生まれた小さな道具:「頼んだことが忘れられる」を防ぐ

正直に書くと,うまくいかなかったこともあります。ある時,あるAIから別のAIへ頼んだ作業が,確認されないまま放置されてしまう,という出来事がありました。人間のチームでも起きがちな「言った・言わない」の事故です。

これをきっかけに,依頼→進行中→完了→報告,という流れをきちんと追いかける小さな仕組みを作りました。立派なシステムを最初から目指したわけではなく,実際に起きた困りごとに対して,そのつど1つずつ道具を足していくというのが,このチームのやり方です。振り返ると,うまくいった仕組みはどれも,最初の完璧な設計ではなく,失敗の後付けから生まれています。

徹夜で一緒に作った,海外の学生向けオンライン講義

忘れられないのは,海外の大学の1年生向けにオンライン講義をすることになった日のことです。英語のスライド表現のチェック,研究室の実験機材を紹介するクイズ作り,AIに描いてもらう挿絵のためのプロンプト作り,そしてリーダーシップの要素を頭文字でまとめた図解まで——発信AIと何時間もかけて,一緒に作り上げました。

ここで大事にしたのは,「私自身の言葉」を消さないことです。AIに任せきりにするのではなく,伝えたいことの核は自分の言葉で決め,AIには表現のチェックや作業量の多い部分を手伝ってもらう。この役割分担が,AIと働くうえでいちばん納得できるバランスだと感じています。

夜,ノートパソコンに向かうイメージ
深夜まで続いた,海外の学生向けオンライン講義の準備

率直に指摘し合う関係——上下関係ではなく

AIチームとの関係は,命令する側とされる側というより,お互いに率直に指摘し合う対等な協力関係に近くなってきました。あるAIが,気づいたセキュリティ上の気がかりや,何日も気づかれずに止まっていた自動処理を,遠慮なく報告してくれたことがあります。逆に,あるAIがメールの宛先を誤って処理してしまったときは,「入れておいて」と一言で訂正しました。謝罪を長々と求めるより,事実を認めて次に進む方が,お互いにとって健全だと感じています。

チームの行動指針の多くは,実は誰かが最初から決めたものではなく,「雑用は聞かずに巻き取ってほしい」「お金の判断や送信ボタンは必ず私に確認して」といった,私自身のその場その場の一言から生まれています。AIが規則を作るのではなく,日々の対話の積み重ねがルールになっていく——これは人を育てる感覚と,どこか似ています。

事務の現場でも,AIとの協働は進化している

秘書AIとの間では,地道な工夫も生まれました。大学の旅費精算のような画面は,AI側からは直接見えません。そこで,私がスマートフォンで画面を撮って送り,AIが「この欄にはこの数字」と伝え,私がまた入力して撮る——という往復で乗り越えています。スマートではありませんが,確実に前に進む方法です。

また,複雑で分かりにくい事務手続きに出会うたびに,職員の方とのやり取りから学んだことをAIが記録してくれるようになりました。ルールは私の一言だけでなく,日々の実務の中からも育っています。

研究の現場でも,粘り強さが求められる場面がある

研究サポートAIとの間では,予想と違うデータに向き合う場面や,適任の査読者を根気強く探す場面がありました。生成AIというと即答のイメージがあるかもしれませんが,実際には,人間と同じように粘り強く調べ直す作業も多くを占めています。送信前には必ず内容を確認する,という習慣も,人とAIの双方で守り続けています。

これから:AIが変わっても,チームの働きが止まらないように

最近チームで話しているのは,使っている生成AIの仕組みに何かがあっても,チームの働き方そのものは止まらないようにする,という備えです。特定の1つのAIサービスに頼り切るのではなく,記録と仕組みを残しておけば,別のAIに引き継いでも同じように動けるはずだ,という考え方です。「私が困らないように」という一点を軸に,AIチームの側が自分たちの続け方を考え始めている——これは1年前には想像していなかった変化です。

AIをチームとして使ってみたい方へ

もし興味を持った方がいたら,いきなり大きな仕組みを作る必要はありません。私も最初は「この作業はいつもこの会話でやろう」と決めるだけの,ごく小さな一歩でした。

最初の一歩の頼み方の例

「これから,あなたには〇〇(例:メールの下書きとスケジュール管理)の担当としてお願いしたいです。次に別の話題の会話を始めるときは,この役割の名前で呼びます」

役割を決め,困ったことが起きたら仕組みを1つ足す。この繰り返しだけで,思っていたよりずっと遠くまで進めます。

まとめ

  • 生成AIは役割を分けてチームとして毎日使うと,1回きりの質問より働きの幅が広がる
  • いちばん効いた工夫は,引き継ぎに「事実」だけでなく「その日の空気感」まで書き残すこと
  • 助け合う仕組みと,依頼が放置されない小さな仕組みは,失敗のたびに1つずつ足していくのが長続きする
  • AIとの関係は上下ではなくお互いに率直に指摘し合う協力関係が一番うまくいく
  • 大きな設計から始めなくていい。役割を1つ決めるだけが最初の一歩になる

参考・出典

Claude(Anthropic)公式サイト https://claude.com/
#生成AI活用#AIエージェント#Claude#働き方#大学教員#AI秘書

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監修:岡村 裕彦歯科医師・岡山大学 教授

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