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2026年4月,公務員の「副業」がまた変わる|できること・届け出るだけでいいこと・許可がいること
ライフ・キャリア公開:2026-09-17最終更新:2026-09-1711分で読めます

2026年4月,公務員の「副業」がまた変わる|できること・届け出るだけでいいこと・許可がいること

2026年4月1日から,国家公務員の自営兼業のルールが変わります。「知識・技能をいかす」か「社会貢献になる」かの2つの軸で,これまでより承認されやすくなりました。地方公務員も2025年6月の総務省通知で同じ方向に動いています。国立大学法人はまた別の規程です。同じ職場で働く筆者が,3つの立場を整理し,実際に何をすればいいかをまとめました。

🩺この記事のポイント

  1. 12026年4月1日から,国家公務員の自営兼業は「知識・技能をいかす活動」と「社会貢献に資する活動」の2軸で,これまでより承認されやすくなる(人事院・2025年12月19日発表)。地方公務員も2025年6月の総務省通知で同じ方向
  2. 2承認された自営兼業には,開業届と事業計画書の提出が前提。裏を返せば,承認されれば青色申告の65万円控除など「経費が使える」立場になる
  3. 3国立大学法人は各法人の兼業規程による。岡山大学の例では,営利企業兼業・自営兼業・非営利企業兼業の3分類で,学長の承認基準は「本務への支障」「信用の毀損」「利害関係」の有無。勤務時間外の無報酬の活動は届け出のみで足りる

先に結論:2026年4月から,公務員の「副業」は3つの立場で答えが変わります

「公務員も副業できるようになったらしい」——2025年の終わりごろから,職場でこんな話を耳にした方は多いと思います。ニュースの見出しだけを見ると,まるで急に何でも自由になったかのようですが,実際は立場によって根拠になる制度が違い,緩和の中身も少しずつ違います。

結論から言います。2026年4月1日から,国家公務員の自営兼業は「知識・技能をいかす活動」と「社会貢献になる活動」の2つの軸で,これまでより承認されやすくなります。地方公務員は2025年6月の総務省通知で,同じ方向にすでに動き始めています。そして国立大学法人の職員は,そのどちらでもなく各法人が自分で定める兼業規程に従います。この記事では,国立大学に勤める筆者が,同じ職場で働く方に向けて3つの立場を整理し,実際に何をすればいいかをまとめます。

まず全体像:3つの立場と根拠になる制度

立場根拠2025〜26年の動き
国家公務員国家公務員法・人事院規則14-8人事院が2025年12月19日に「自営兼業制度の見直し」を発表。2026年4月1日施行
地方公務員地方公務員法第38条総務省が2025年6月11日に通知を発出し,各自治体に許可基準の設定と公表を求めた
国立大学法人の職員各法人の兼業規程(岡山大学の例:岡大規程第12号)法人ごとの規程が先にある。国のニュースがそのまま当てはまるとは限らない

大事なのは,地方公務員法38条も国家公務員法も,副業を「禁止」しているのではなく「制限」しているという点です。許可を得れば,堂々とできます。今回の一連の動きは,その許可の基準を「もっと出しやすくしよう」という方向のものです。

① 国家公務員:2026年4月からの2つの軸

人事院が2025年12月19日に発表した「自営兼業制度の見直しについて」は,2026年4月1日から,次の2つの軸に当てはまる自営兼業を,これまでより承認しやすくするというものです。

  1. 知識・技能をいかす活動——たとえば,著作物の創作・販売,物品の製造・販売,自分の持つスキルを教える活動など
  2. 社会貢献に資する活動——たとえば,地域振興のイベントの主催,高齢者の生活支援サービスの提供など

制度の狙いは,人事院の発表によれば,自営兼業を通じた自己実現や社会課題の解決が,自律的なキャリア形成やモチベーション向上を通じて本来の業務にも良い影響を与えうる,というものです。

承認にあたっては,開業届と事業計画書の提出が前提になります。裏を返せば,承認されれば「個人事業主」としての顔を持つことになり,青色申告特別控除(最大65万円)などの制度を使える立場になります。

一方で,見直しのQ&Aでは,年次休暇を使っての自営兼業は承認が困難と明記されています。休暇は本来の目的(休養等)のためのものだから,という考え方です。ブログや動画配信のような発信活動は一概に否定されるものではありませんが,物品の転売(いわゆる「せどり」)のような形態は,この見直しの対象として想定されていません。

② 地方公務員:2025年6月の総務省通知が土台

地方公務員は,2025年6月11日付の総務省通知「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について」が土台になります。この通知は,各地方公共団体に対して,兼業の許可基準を自分たちで設定し,それを公表するよう求めるものです。

ポイントは,許可基準は自治体ごとに違うということです。国家公務員向けの人事院の発表がそのまま自分の自治体に当てはまるわけではありません。自分の勤め先が許可基準を作っているか,作っているならどんな内容かを,人事担当課に確認するのが最初の一歩です。

📌 国立大学法人の教職員の方へ(ここが一番の落とし穴)

国立大学法人の職員は,法律上は公務員ではないので,国家公務員向け・地方公務員向けのニュースがそのまま適用されるわけではありません。各法人が自分で定めた兼業規程に従います。

岡山大学の例では,「国立大学法人岡山大学職員兼業規程」(岡大規程第12号)が兼業を営利企業兼業・自営兼業・非営利企業兼業の3つに分けています。原則として事前に「兼業承認申請書」を出して学長の承認を受けますが,勤務時間外に無報酬で行う兼業(役員を除く)は届け出のみで足ります。学会での講演や,無償の原稿執筆はこちらに当たることが多いはずです。

承認できない場合として規程が挙げるのは,本務の遂行に支障が生じる(またはそのおそれがある),心身の疲労で職務能率に悪影響が出るおそれがある,職員の信用を傷つけ法人の不名誉となるおそれがある,職務の公正性・信頼性の確保に支障が出るおそれがある,職責と兼業先に特別な利害関係がある,のいずれかです。収入を伴う自営兼業の場合,事業計画書に「事業目的及び業務内容」「営業日及び営業時間」「収入の予定年額」を書くことになっています。ご自身の法人の規程は,人事担当窓口か学内規則集で必ず確認してください。

通りやすいもの・通りにくいもの

3つの立場に共通する傾向として,次のように整理できます。

種類傾向
講演・執筆もともと許可制で認められてきた活動。国立大学の教員は,学会発表や論文執筆に近い無報酬の活動なら届出のみで足りることも多い
自分のスキルを教える(教室・講師)「知識・技能をいかす」「地域貢献」の両方に当てはまりやすく,通りやすい部類
地域振興・生活支援の活動社会貢献の軸に直接該当し,通りやすい
株式・投資信託などの投資そもそも兼業に当たらないとされ,許可は不要(確定申告は必要)
物品の転売(せどり)今回の見直しが想定する対象ではなく,通りにくい部類
広告収入が中心のブログ・動画配信一概に否定されないが,営利色が強いと判断されると慎重な扱いになりやすい

ここで大事な考え方が1つあります。同じ活動内容でも,何を目的にした活動として説明するかで,通りやすさが変わるということです。たとえば同じ「教える」活動でも,「収益を上げること」を前面に出すより,「地域の子どもたちにスキルを伝える」という社会貢献の側面を丁寧に説明した方が,担当者の理解を得やすい傾向があります。中身を偽る必要はありません。自分の活動のどの側面が,今回の見直しの軸に当てはまるかを,自分の言葉で説明できるようにしておくことが実務的なコツです。

申請までの進め方

立場によって窓口は違いますが,大まかな流れは共通しています。

図|兼業申請の一般的な流れ

1

根拠を確認する:自分の立場(国家公務員・地方公務員・法人職員)でどの制度・規程が根拠になるかを人事担当窓口で確認する

2

直属の上司に相談する:いきなり人事へ行くより,まず理解のある上司に話を通す方がスムーズなことが多い

3

事業計画書を用意する:目的,業務内容,営業日・時間,収入の予定年額を,自分の活動に即して具体的に書く

4

申請書を提出する:様式は所属先が定めるものを使う。窓口で聞いた懸念点は,事前に計画書へ反映しておく

5

承認を受けて開始する:承認前に収益活動を始めない。届出のみで足りる場合も,念のため書面を残しておく

お金の話:許可を得た後に気をつけること

兼業が承認された後も,家計とのつながりでは次の点を押さえておくと安心です。

  • 20万円ルールは所得税だけの話——給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが,住民税の申告は別に必要です。ここを混同する方が多いので注意してください
  • 開業届を出せば経費が使える——承認された自営兼業で開業届を提出すれば,青色申告特別控除(最大65万円)や,活動に必要な機材・通信費などの経費計上ができるようになります
  • iDeCoの掛金にもゆとりが生まれうる——兼業で得た収入をそのまま生活費に組み込むのではなく,2027年1月から広がるiDeCoの上限まで積み立てる原資に回す,という考え方もできます

→ 国立大学職員・公務員のiDeCoは2027年1月から月5.4万円へ|10〜11月中に済ませたい手続き

AIに聞くときの聞き方

制度は立場によって違うので,AIに相談するときも自分の立場を先に伝えるのがコツです。

「私は国立大学法人の事務職員です。所属法人の兼業規程で,学会発表以外の無報酬の講演が届出のみで足りるかどうかを確認する方法を教えて」

「私が考えている活動(内容を書く)は,2026年4月から始まる人事院の自営兼業の見直しでいう『知識・技能をいかす活動』と『社会貢献に資する活動』のどちらに近いか,理由とあわせて整理して」

「兼業の事業計画書に書く『事業目的及び業務内容』『営業日及び営業時間』『収入の予定年額』を,この活動内容(書く)に基づいて下書きして」

AIは制度の詳細や施行日を誤って答えることがあります。最終的な可否の判断は,必ず所属先の人事担当窓口に確認してください。この記事も含め,個別の申請の可否を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 育休中でも兼業の申請はできますか?

育休は育児のための休業という位置づけのため,育休中の申請は難しいとされる傾向があります。年次休暇を使っての自営兼業も,2026年4月からの見直しで承認が困難と明記されています。復帰後の申請を検討するのが無難です。

Q. 家族名義で活動すれば許可はいりませんか?

実態として本人が業務の中心を担っている場合,名義だけを家族にしても,兼業規程上の問題が解消されるとは限りません。誠実に許可を取る方法を先に検討することをおすすめします。

Q. 国立大学法人の職員も,人事院の2026年4月の見直しの対象ですか?

対象ではありません。国立大学法人の職員は法律上の公務員ではなく,各法人が自分で定めた兼業規程に従います。ただし国のこうした動きを受けて,法人の規程が今後見直される可能性はあります。所属法人の最新の規程を確認してください。

まとめ

  • 2026年4月1日から,国家公務員の自営兼業は「知識・技能をいかす」「社会貢献になる」の2軸で承認されやすくなる。開業届と事業計画書が前提
  • 地方公務員は2025年6月の総務省通知が土台。許可基準は自治体ごとに違うので,自分の勤め先の基準を確認する
  • 国立大学法人の職員は各法人の兼業規程に従う。岡山大学の例では3分類・学長承認・勤務時間外無報酬は届出のみ。事業計画書には目的・業務内容・営業日時・収入予定年額を書く
  • 通りやすいのはスキル活用・地域貢献の要素がある活動。せどりや年次休暇中の活動は通りにくい
  • 許可の後も,住民税の申告経費計上のメリットを押さえておく

公務員・大学職員向けの「お金とAI」の記事は,守る→増やす→働き方→使いこなす,の順に読めます。

→ 定年延長で61歳の年度から給与7割|55歳からの5つのこと

→ 「AIの使い方がわからない」で止まっている大学職員・公務員へ

参考・出典

人事院:自営兼業制度の見直しについて(令和7年12月19日発表・2026年4月1日施行) https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2512/jieikengyo_00001.html
人事院:自営兼業制度の見直しについて(概要) https://www.jinji.go.jp/content/000013505.pdf
人事院:自営兼業制度の見直しに関するQ&A(令和7年12月) https://www.jinji.go.jp/content/000013460.pdf
人事院:一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集) https://www.jinji.go.jp/seisaku/kinmu/page_00132.html
総務省:営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(総行公第72号・令和7年6月11日通知) https://www.soumu.go.jp/main_content/001016459.pdf
国立大学法人岡山大学職員兼業規程(岡大規程第12号) https://www.okayama-u.ac.jp/shokisoku/reiki_honbun/u352RG00000081.html
国立大学法人岡山大学職員就業規則 https://www.okayama-u.ac.jp/shokisoku/reiki_honbun/u352RG00000030.html
#副業#兼業#公務員#国立大学#人事院#働き方
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監修:岡村 裕彦歯科医師・岡山大学 教授

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