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定年延長で61歳の年度から給与7割|公務員・大学職員が「その前の5年間」に済ませておく5つのこと
増やす公開:2026-09-15最終更新:2026-09-1511分で読めます

定年延長で61歳の年度から給与7割|公務員・大学職員が「その前の5年間」に済ませておく5つのこと

公務員の定年は2年に1歳ずつ延び,2031年度に65歳になります。ただし61歳に達する年度からは基本給・ボーナスが7割です。退職金にはピーク時特例があり不利になりませんが,手取りが3割減る期間に住宅ローンや教育費の山が重なると苦しくなります。国立大学法人は法人ごとに規則が違い,岡山大学の例では教育職員は7割措置の対象外です。同じ職場で働く筆者が,55歳からの5年間で済ませておくことを5つに絞りました。

📈この記事のポイント

  1. 1定年は2023年度から2年に1歳ずつ延び,2031年度に65歳。給与が7割になるのは「61歳に達する年度」から。基本給・地域手当・ボーナスは7割,住居・扶養・通勤手当はそのまま
  2. 2退職金は「ピーク時特例」で減額前の給与をもとに計算されるので,7割になっても不利にならない。60歳以降に定年前退職しても定年退職扱い
  3. 3国立大学法人は法人ごとの規則。岡山大学の例では事務系職員は7割,教育職員(教授〜助教)は対象外。国立大学法人の職員は雇用保険に入っているので,7割になれば高年齢雇用継続給付の対象になりうる

先に結論:減るのは「61歳の年度から,基本給とボーナスの3割」。準備の要は55歳から

「定年が65歳まで延びるらしい」「でも60歳から給料が7割になるって本当?」——職場で断片的に聞こえてくるこの話,正確に説明できる人は意外と少ないです。人事から配られる案内は制度の説明が中心で,「自分の家計はどうなるか」「いつまでに何をすればいいか」は書いてありません。

結論から言います。国家公務員・地方公務員の定年は2023年度から2年に1歳ずつ延び,2031年度に65歳になります。そして「61歳に達する年度」から,基本給・地域手当・ボーナスが7割になります(住居手当・扶養手当・通勤手当はそのまま)。退職金は減額前の給与をもとに計算する「ピーク時特例」があるので,7割になったせいで損をすることはありません。

つまり怖いのは制度そのものではなく,手取りが3割減る期間に,住宅ローンや教育費の山が重なることです。この記事では,国立大学に勤める筆者が,同じ立場の同僚に向けて「55歳からの5年間で済ませておくこと」を5つに絞って書きます。国立大学法人の職員は制度が少し違うので,その点も分けて説明します。

まず制度を1枚で:いつ何が起きるか

年度定年年齢
2023〜2024年度61歳
2025〜2026年度62歳
2027〜2028年度63歳
2029〜2030年度64歳
2031年度〜65歳

自分の定年は「定年退職する年度にこの表の年齢になっているか」で決まります。たとえば1966年(昭和41年)4月2日〜1967年4月1日生まれの方は64歳,1967年4月2日以降の生まれなら65歳が定年です。

そのうえで,60歳前後に起きることは次の4つです。

  1. 役職定年(60歳)——課長級などの管理監督職は,60歳の誕生日から最初の4月1日までに非管理職ポストへ降任します。降任で下がった分は「調整額」として補われますが,それも含めて次の7割措置の対象です
  2. 給与7割(61歳に達する年度から)——正確には「60歳に達した日後の最初の4月1日」からです。人事院の例では,本府省課長補佐級(俸給月額427,000円)が298,900円になります。7割になる手当:地域手当・期末勤勉手当など。ならない手当:住居手当・扶養手当・通勤手当など
  3. 退職手当のピーク時特例——退職手当の基本額は「減額前の俸給月額×減額日前日までの勤続期間の支給率」+「減額後の俸給月額×その後の期間分」で計算されます。7割期間が長くても,60歳までに積み上げた分は減りません。60歳以降に定年前退職しても「定年退職」として算定されます
  4. 働き方の選択(59歳時に意思確認)——①そのまま常勤で定年まで働く,②いったん退職して「定年前再任用短時間勤務」(週15.5〜31時間),③退職して公務の外へ,の3つ。段階的引上げの期間中は,定年退職後に65歳まで「暫定再任用」で働く道もあります

📌 国立大学法人の教職員の方へ(ここが一番の落とし穴)

国立大学法人の職員は法律上の公務員ではないので,定年や給与は各法人の就業規則・給与規則で決まります。多くの法人が国家公務員と同じ段階的引上げを採用していますが,7割措置の範囲は法人ごとに違います。

たとえば岡山大学の場合,職員就業規則で定年65歳(2031年3月まで段階的引上げ)・役職定年60歳と定め,職員給与規則の附則で「60歳に達した日後の最初の4月1日以後,俸給月額に100分の70を乗じた額」としています。ただし同じ附則で,教育職員(教授・准教授・講師・助教)はこの7割措置の対象外とされています。つまり同じ大学でも,事務系職員は7割,教員は7割にならない,という違いがあります。

もう一つ。国立大学法人の職員は雇用保険に加入しているので(国家公務員は未加入),給与が60歳時点の75%未満に下がれば「高年齢雇用継続基本給付金」の対象になりえます。2025年4月以降に60歳になる人は最大で賃金の10%(64%以下に下がった場合。7割なら数%程度)です。人事・給与担当に「対象になるか」を一度聞いてみてください。

55歳からの5年間で済ませておく5つのこと

制度が分かったら,あとは家計の話です。7割になる前の5年間に,次の5つを順番に片づけておくと,61歳の年度を落ち着いて迎えられます。

① 「7割になった月の手取り」を今の給与明細で試算する

いちばん最初にやることです。給与明細を1枚出して,基本給・地域手当・ボーナスを0.7倍住居・扶養・通勤手当はそのままにして足し直してください。そこから社会保険料と税金を引いた額が,61歳の年度の手取りの目安です。多くの人は「思ったより減る」と感じます。ボーナスも7割になるからです。

この数字が出ると,次の②〜⑤の判断が全部具体的になります。逆に,この試算をしないまま「なんとなく不安」でいるのが一番よくありません。

② 住宅ローンと教育費の「山」を,60歳より前に通過させる

手取りが3割減る期間に,いちばん重なってほしくないのがこの2つです。

  • 住宅ローン——完済年齢が61歳以降にかかっている場合,返済額を7割の手取りで払えるかを①の数字で確認します。無理があるなら,55〜60歳の「まだ10割もらえる期間」に繰上げ返済で圧縮するか,返済期間を延ばして月額を下げるかを決めます。退職金で一括返済する前提は,ピーク時特例があるとはいえ,iDeCoや老後資金と取り合いになるので慎重に
  • 教育費——子どもの大学在学が61歳以降にかかる方は,学費の山が7割期間と重なります。授業料の準備は60歳までに終えておくのが理想です。国立大学の職員なら,授業料免除や貸与型・給付型奨学金の制度は職場の窓口が一番詳しいはずです。同僚に聞きにくければ,学生支援の公開ページから確認できます

③ 59歳の意思確認までに,3つの働き方から選んでおく

国家公務員では,60歳になる前年度に「60歳以降どう働くか」の情報提供と意思確認があります。ここで初めて考え始めると,選択肢を比べる時間がありません。

働き方向いている人お金の面で見るところ
そのまま常勤(7割)ローン・教育費が残っている人,厚生年金を最大限積みたい人手取りは7割だが,年金の加入期間が延びる。退職金はピーク時特例
定年前再任用短時間勤務介護や家業,副業と両立したい人基本給は短時間勤務の俸給×勤務時間の割合。扶養手当なし。いったん退職するので退職手当がここで出る
退職して公務の外へやりたい仕事や事業がある人60歳以降なら定年退職扱いで退職手当。ただし収入の見通しは自分で作る必要がある

どれが正解ということはありません。ただ,「常勤で7割」が最も多くの人の既定路線で,そこから外れる選択ほど早めの準備が要ります。

④ iDeCoと退職金の「受け取り時期」を先に設計する

公務員・国立大学法人の教職員のiDeCo上限は,2027年1月分から月5.4万円前後に広がります(詳しくは下の記事)。ここで気をつけたいのが2点です。

  • 掛金は7割期間も続けられる額にする——55歳で上限まで掛けると,61歳の年度に負担感が急に増します。①で出した7割の手取りで払える額を上限に考えます
  • 退職手当とiDeCo一時金の受け取り年をずらす——同じ年に近い時期で受け取ると,退職所得控除を取り合って税金が増えることがあります。定年前再任用短時間勤務を選ぶ人は,退職手当の出る年が早まるので,なおさら先に設計が必要です

→ 国立大学職員・公務員のiDeCoは2027年1月から月5.4万円へ|10〜11月中に済ませたい手続き

→ 【2026年改正】iDeCoで得する人・損しないための注意点(受け取り時期の設計)

⑤ 「7割期間」に足せる収入と,減らせる固定費を今から作る

3割減を全部我慢で埋める必要はありません。足す方と減らす方の両方があります。

  • 足す——国家公務員は2026年4月から自営の兼業が緩和され,執筆や講演はもともと許可の対象です。国立大学法人は各法人の兼業規程によります。いきなり始めるより,55歳から「許可の取り方」と「小さく試す」を済ませておくと,7割期間に間に合います
  • 減らす——保険と通信費とサブスクの見直しは,やった分だけ確実に効きます。とくに「安定している人」向けに勧められた貯蓄型保険は,7割期間の負担になりやすいので,60歳前に出口を決めておきます

→ 「安定している人」ほど狙われる毒キノコ商品|自分の契約を10分で点検する

図|55歳から65歳までの段取り

1

55歳:7割の手取りを試算。住宅ローン・教育費の山が61歳以降に残るか確認

2

56〜58歳:繰上げ返済か期間延長かを決める。保険・固定費の出口を決める。兼業の許可の取り方を確認

3

59歳:意思確認までに働き方を選ぶ。iDeCoと退職手当の受け取り年を設計する

4

60歳:役職定年(管理職の人)。誕生日後の最初の4月1日から7割

5

61〜65歳:7割期間。副収入と固定費削減で差を埋め,定年退職(暫定再任用で65歳まで働く道もある)

自分の場合をAIに整理させる聞き方

制度は共通でも,生まれ年・職種・法人によって答えが変わります。AIに聞くときは,自分の立場と生まれ年を先に伝えるのがコツです。そのまま使える聞き方を置いておきます。

「私は1968年生まれの国家公務員(非管理職)です。定年は何歳で,給与が7割になるのは何年度からか,人事院の資料に基づいて整理して」

「給与明細の内訳はこうです(基本給・地域手当・住居手当・扶養手当・通勤手当・ボーナスの額)。7割措置後の年収の目安を,7割になる手当とならない手当を分けて計算して」

「私は国立大学法人の事務職員です。自分の大学の給与規則で60歳以降の俸給がどう決まるか,確認すべき条文の探し方を教えて」

AIは制度の年度や数字を古い情報で答えることがあります。最終確認は人事院・内閣人事局の資料と,所属の人事・給与担当で行ってください。

→ 「AIの使い方がわからない」で止まっている大学職員・公務員へ|最初の一歩は,聞き方を3つ覚えるだけ

よくある質問

Q. 給与が7割になったら,退職金も7割になりますか?

なりません。ピーク時特例で,減額前の俸給月額をもとに計算されます。60歳以降に定年前に退職しても「定年退職」として算定されます。

Q. 60歳で辞めて再任用になった方が得ですか?

一概には言えません。常勤で7割の方が,厚生年金の加入期間と退職手当の積み上げが続きます。短時間勤務は時間の自由と引き換えに基本給が勤務時間の割合になり,扶養手当も出ません。①の試算をしてから比べてください。

Q. 教員(教育職員)も7割になりますか?

法人によります。岡山大学の例では,職員給与規則の附則で教育職員は7割措置の対象外とされています。ご自身の大学の給与規則の附則を確認するか,人事担当に聞くのが確実です。

Q. 地方公務員も同じですか?

定年の段階的引上げ(2023年度〜2031年度で65歳),役職定年,7割措置,定年前再任用短時間勤務,暫定再任用は,地方公務員法の改正で国家公務員と同じ枠組みが用意されています。細部は各自治体の条例で定めるので,自分の自治体の条例を確認してください。

まとめ

  • 定年は2年に1歳ずつ延びて2031年度に65歳。給与7割は61歳に達する年度から。基本給・地域手当・ボーナスが7割,住居・扶養・通勤手当はそのまま
  • 退職金はピーク時特例で不利にならない。怖いのは制度ではなく,手取り3割減と住宅ローン・教育費の山が重なること
  • 55歳からやるのは5つ:手取りの試算/ローンと教育費の山を60歳前に/59歳までに働き方を選ぶ/iDeCoと退職金の受け取り年の設計/足せる収入と減らせる固定費
  • 国立大学法人は法人ごとの規則。岡山大学の例では事務系は7割・教育職員は対象外。国立大学法人の職員は雇用保険加入なので高年齢雇用継続給付の対象になりうる

公務員・大学職員向けの「お金とAI」の記事は,守る→増やす→使いこなす,の順に読めます。

→ 「安定している人」ほど狙われる毒キノコ商品(守る)

→ 国立大学職員・公務員のiDeCoは2027年1月から月5.4万円へ(増やす)

→ 「AIの使い方がわからない」で止まっている大学職員・公務員へ(使いこなす)

参考・出典

人事院給与局・内閣官房内閣人事局:国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)令和8年4月 https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/20260401_over60_hatarakikata_gaiyou.pdf
人事院:定年引上げ(情報提供・意思確認制度に基づく情報提供パンフレット掲載ページ) https://www.jinji.go.jp/seisaku/kyuyoshogaisekkei/teinen.html
総務省公務員部:地方公務員法の一部を改正する法律について(地方公務員の定年引上げ関係) https://www.soumu.go.jp/main_content/000768068.pdf
国立大学法人岡山大学職員就業規則(第18条 定年・第12条の2 役職定年・附則の段階的引上げ) https://www.okayama-u.ac.jp/shokisoku/reiki_honbun/u352RG00000030.html
国立大学法人岡山大学職員給与規則(附則:60歳に達した日後の最初の4月1日以後の俸給月額100分の70,教育職員の適用除外) https://www.okayama-u.ac.jp/shokisoku/reiki_honbun/u352RG00000035.html
ハローワーク:高年齢雇用継続給付 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
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監修:岡村 裕彦歯科医師・岡山大学 教授

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